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Silver Rainのキャラクター、門崎・了介(b42410)他4名(酷)とその背後のブログ。
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    気がつけば、俺は月明かりが照らす、森の中にいた。
  
何故この場にいるのかは分からないが、この鬱蒼と木々が生い茂った森は知っている。

我が家の庭だ。我らがお父様、『門崎』春彦が保有していた、俺が生まれた家。


・・・これは夢か現か、俺はまた再び戻ってきていた。


昔の懐かしき家へ。そして

 


憎きアイツが居た家へ。





「なんでまた、こんなトコに来ちまったんだろう・・・あぁ、もう眠いっつーの!」

・・・恐らく、いや確実に円、姉貴のヤローの仕業だろうけれど。そうとしか考えられない。
俺は風呂入って甚平羽織って縁側で茶飲んで、よし布団でゆっくり休もう!と思ってたはずなのに、いつの間にかいつもの服装、ロングコートにシルバーチェーンのジーンズ、ご丁寧に赤い包帯まで巻いて『転送』してくださりやがってます。


「送るんならせめて玄関先に送ってくれよなぁ・・・ったくもー。」


とりあえずぶらぶらと歩き出す。
実際この庭は広い。いや、『庭』と言っていいのかも分からない程の広大な面積を持っている。
春彦さんが保有していたこの森、聞いた話によれば元々民家だったものを全て叩き壊して作ったらしい。意外と金持ちだったのかと、そのときは驚いたものだ。

「えーっと道はー・・・こっちか、うん助かるな似非GPS」

どうやら東西南北の四方に侵入者を拒む魔術が設置されているようで、身内以外のものは立ち入れないようになっている様子。なんともはや。

が、俺はどう考えても身内として認識されているようで、「とっとと立ち退かんかいワレェ!」などと弾かれはしないようだ。

+αで実家の道筋まで教えてくれるようである。それもテレパシーみたいな感じに。頭の中に精巧な地図が浮かび上がるようなイメージとして捉えることが出来るのはありがたい。現在位置も教えてくれる優れもの。

が、手入れが全くされていないためか、木の隙間から漏れる月の光でようやく足元が見える程度のこの森は、正直なところ道が酷い。というか無い。

それに小さい頃に爺さんと修行くらいにしか使われていなかったためか、荒れ放題で歩きづらいことこの上なく。

どうして此処までの広大な、そして使い道の無い土地を保有しなければならなかったのか皆目検討もつかないが、家にたどり着くにはかなり面倒くさい道のり、距離になるわけで。






30分かけて実家の門前に到着しました。


「と、遠かったやっぱり・・・きちんと使えるようになってから使って送れよ姉貴ィ!」


ちょっとへばってる俺がいた。しょうがねーじゃん寝起きなんだから。いくら能力者といえども寝起きは辛い。
俺の目の前に建つ西洋風の建物が建つ立派な家は、これもまたお父様、春彦さんが保有していたものである。

どうやらこの家が建っている真下が丁度、龍脈と呼ばれる魔力の磁場溜まりらしい。
昔の俺じゃ全く魔力なんて感知できなかったのだが、右手にアレを描いてからなんとなく感じ取れる、気がする。
だが龍脈っつっても、きっとドラゴントライアングルに比べたら屁でもないんだろうが。


「確かに、変に体が重いというかなんつーか・・・?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァ。」


・・・・・・いや、魔力が濃いからとか、そういうものだけじゃないだろう。
疲れた眠いやら飄々としたり、龍脈がどうのこうのと御託をたくさん並べるが、結局この家に入るのがイヤなのだ俺は。
だからこうやってずっとこの話題を続けて、家に入ろうとするのを長引かせようとしている。全くやってられないほど、女々しい。

・・・・・・『門崎』の姓を名乗るのは、元々俺であって俺で無い俺のはずだったんだから。
代々伝わる魔術の遺産。それは、長男であった俺が引き継がなければならなかったモノ。
けれど、生まれてきたはずの自分には魔力の欠片ほど持っていなかった。
そして魔術師六家、宗主たる『門崎』の名を引き継げる条件は2つの内どちらか。

1つ。 魔力を備え、魔術師としての才能を十分発揮できる者。

1つ。 紅い双瞳を引き継ぎ、初代宗主の名に恥じない者。

残念かどうかは分からない。だが、俺は、どちらも持っていなかった。だから。
『抹消』された。『門崎』の長男という記録、存在全てを『抹消』されたのだ。元来いない者だと。


存在しない者。存在してはいけない者。


けれどその苗字は俺が騙っている。それは深く考えれば感じる必要の無いモノ、だがそれでも自己嫌悪を感じている。
言っている意味が自分でも分からないが、口に出すとこういう抽象的なことしか言えない。それがまた、俺の中で歯痒くて。

「・・・結局、まだ分かってないんだよ。俺が何をすべきだったのか。これから何に償えばいいのか。・・・まだ、何も分かってないんだよ・・・。」


ポツリと。
俺の弱さが口から零れた。










    ポツポツと、雨が降ってきた。 

「・・・・・・あーあ、風呂入ったっつーのに・・・・・・最悪だな。」







    雨が本降りになった。

「・・・・・・俺は・・・・・・。」










気づけば、厳重に閉まっていたはずの門はいつの間にやら開いていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

・・・入るしか、ないか。
この門が開いてるということは、そろそろ円が出てくるんだろう。きっと、流石に遠くに飛ばしすぎた!って慌てて。家から出てくるのが目に見える。

・・・円には・・・親愛なる、唯一家族の姉にはこの心の内だけは気づかれたくない。もう、これ以上の心配させたくもない。


だから・・・。


「・・・さってと!こんなびっちょびちょだとまた風呂入りなおさなきゃいけねぇ・・・ったく、雨なんて聞いてねーぞ?とりあえず円に文句言ってやらねーとな・・・♪」

仮面を被ろう。もう誰にも、俺のことであの哀しそうな表情は見たくないから。


笑おう、皆のためにも。それが、俺の為にもなる。

 
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